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控除でお金が戻る!知っておきたいサラリーマンの税金

2016/10/22 控除 税金・公的手当
この記事は約 8 分で読めます。

税金のしくみは、わざと難しくしているのではないかと思えるほど、複雑でわかり辛く出来上がっています。このコラムではそんな中でも、サラリーマンとかかわりが深い所得税の控除制度についてシンプルに解説すると同時に、源泉徴された税金が戻ってくるいくつかの手法を紹介します。

また、最近は格差問題が新聞紙面をにぎわしていますが、そうした格差解消と安倍政権が現在取り組んでいる所得税改革も取り上げてみました。

源泉徴収票を眺めてみよう

年明けに人事部から配られる源泉徴収票、まじまじと眺めるほど、サラリーマンは暇ではありませんよね。でも源泉徴収票をちょっとだけ見てください。「給与所得控除」「配偶者控除」「扶養控除」「社会保険料控除」といった項目が並んでいます。実は、サラリーマンもこうした控除制度の恩恵を受けているのです。

同じ年収でも懐事情は人それぞれ

たとえば、同じ年収600万円のサラリーマンでも、専業主婦の奥さんや育ち盛りのお子さん二人を抱える人と、独身を謳歌している人では懐事情が全く異なります。この懐事情を、税金用語で「担税力(たんぜいりょく)」と呼びます。

税務署は鬼ではありません。所得税は、個人が稼いだ収入に対し一律に税金を課すのではなく、こうした担税力に配慮して、余裕のある独身からは多く、生活が厳しい家族もちからは少なめに税金を徴収します。

具体的なしくみを説明します。サラリーマンが納める所得税の額は、(年収の額-所得控除額)×税率-税額控除額の算式で計算します。つまり個人の担税力に応じて所得控除と税額控除を設けて、納める税金をコントロールしているのです。

個人の担税力は、両親と同居して面倒を見ている、病気がちで医療費がかかる、住宅ローンを抱えている、シングルマザーで頑張っている、持ち家を売却したら損が出てローンが残ったなどの事情によっても左右されます。こうした事情に応じて、じつにさまざまな所得控除や税額控除が設けられています。

サラリーマンでも節税できる

サラリーマンのみなさん、毎月給与明細を眺め、「所得税や住民税、ずいぶん引かれてるなあ」とため息一つ、そんなことを繰り返しつつも、では税金がどう計算されているか、意識することは少ないかと思います。

でもちょっと待ってください。所得控除や税額控除制度の中には、上手に活用すれば、サラリーマンでも、ちょっとした工夫で税金を低く抑えることができ、年末調整や確定申告の時に税金が戻ってくるものもあります。決して大きな金額ではありませんが、給料が思うように増えないこのご時世、少しでも生活防衛するのは賢い生き方です。

医療費が10万円を超えれば所得控除を受けられるが

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若いうちはそうでもなかった医療費も、年を重ねてくるとだんだん嵩んできます。そうした中で、確定申告で医療費控除の適用を受けて税金が戻ってくるのは、少額ながらも本当に助かります。ただし、いくつか注意点があります。

一つは病院や調剤薬局で受け取った領収書を全部とっておくことです。やってみるとわかりますが、これは意外と面倒です。これらは全て確定申告時に提出しなければなりません。サラリーマンだと、健康保険組合から「医療費のお知らせ」が送られてきますが、これは証憑として認められません。

もう一つは、意外な支出も医療費として認められる点です。例えば、処方箋ではなく、薬局で購入した風邪薬や胃腸薬も医療費として認められます。また歩行が不自由な場合、通院に使ったタクシー代や杖の購入費用も医療費として認められます。ただしいずれの場合も、領収書は忘れないでください。

マイホームを手に入れて住宅ローンを組んだ時は

念願のマイホームを手に入れたその時から、毎月10万単位の住宅ローン返済の日々が始まります。そんな困ったときに、返済負担を少しでも緩和し、住宅取得を税金面でサポートする「住宅ローン税額控除制度」の恩恵を受けることができます。

年末の借入残高の1%、通常の場合は最高40万円、長期優良住宅なら最高50万円までの税額控除が認められます。適用期間は10年間、延べ控除額は最高で500万円に達します。ただし、適用が受けられるのは金融機関からの借り入れに限られ、親族や勤務先からの借り入れに対しては認められません。

また、近年は住宅地の地価は低迷が続いており、持ち家を売却したときに、不幸にも何百万円単位の売却損が生じるようなケースも珍しくありません。そうした場合には、売却した年から4年間にわたり、サラリーマンの場合は給与所得から売却損を控除することができます。これを譲渡損失の損益通算・繰り越し控除制度と呼びます。

生命保険に加入した場合

サラリーマンは身体が資本、だからこそ万が一への備えが欠かせません。所得税には、生命保険、介護医療保険や個人年金保険契約への加入をサポートするために、払い込んだ保険料に応じてそれぞれに最高で4万円、合計で最高12万円までの生命保険料控除が認められます。また、妻が契約者である保険の保険料を夫が支払った場合にも、夫が生命保険料控除の適用を受けることができます。

「スーツ代で税金を安くする」は現実的か

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「サラリーマンにも必要経費を認めるべき」との声に押されて、渋々国税庁が作った特定支出控除ですが、平成26年税制改正でにはさらに必要経費として認める範囲を広げ、下限額も引き下げました。

必要経費と認められるのは、スーツなどのビジネスウエア、仕事と関連がある書籍購入や資格取得費、通常必要な通勤費用、得意先との飲食料金、転勤時の転居費用、単身赴任者の帰宅交通費です。

実はこの制度で恩恵を受けるのは容易ではありません。理由は3つあります。必要経費として認められる項目をよく見ると「これって会社が支給してくれるものばっかりじゃん」って思いませんか?特定支出に該当するのは自腹を切ったものに限られます。例えば転勤を命じておいて、「引っ越し代金や現地までの交通費は自腹で払え」なんて有り得ますか。通勤費も正社員なら多くの企業は会社が支給します。

それではいっそのこと、部下や後輩を焼き鳥屋で奢ってあげよう、グリーン車で座って通勤しようという作戦はどうでしょう。こうした会社が経費として認めないような代物は、もちろん特定支出としても認められません。

「それでもスーツ代は特定支出控除として認められるはず」と思うかもしれませんが、まだ高いハードルがあります。特定支出は下限額(給与所得控除額の1/2)を超えた部分に対して認められます。例えば年収600万円のサラリーマンの場合、100万円近くビジネスウエアにつぎ込んで初めて特定支出控除が認められるのです。そこまでしても、戻ってくる税金は2-3万円といったところです。

給与所得控除こそがサラリーマンの必要経費?

「中小企業のオーナーが羨ましい。なんでも必要経費で落とせるなんて。それに引き換え、我々には必要経費が認められないなんてひどすぎる」って思っていませんか?それはかなり認識不足です。

そもそも、サラリーマンは自分で必要経費を払っていません。自宅と会社を毎日往復する交通費も、得意先を接待したスナックの飲み代も、ステーショナリーも移動のタクシー代も、仕事に必要な経費を自分で負担することがないサラリーマン、実は結構恵まれた存在です。

しかも、サラリーマンには給与所得控除が認められます。個人事業主の場合は、使った分だけが必要経費として認められ、さらに家計にかかった費用は必要経費に算入できません。

一方でサラリーマンの場合、年収600万円なら給与所得控除額は174万円まで認められます。これは使った使わないを問いません。こうして考えると、「サラリーマンは税金で割を食っている」という声は、実はあまり的を射ていないのです。

税務署は、「そもそもサラリーマンには給与所得控除を無条件に認めているのだから、必要経費を認めるなんてとんでもない」と考えているのです。

所得税改革は格差解消につながるか?

今まで説明してきたさまざまな控除制度は、住宅ローン控除制度だけが税額控除で、残りはすべて所得控除です。

難しい説明を省略すると、所得控除制度は金持ち優遇であり、税額控除の方がより公平だと言われています。つまり所得控除は金持ちの方が戻ってくる税金の額が多くなります。これに対して税額控除は、所得にかかわらず、戻って金額は変わりません。

実はヨーロッパをはじめとして世界では所得控除から税額控除へのシフトが進んでおり、日本でも所得税改革の議論の中で税額控除への転換が検討されています。

すでに格差解消のための税制改正は進んでおり、平成28年度の税制改正では、給与所得控除に年収上限が設けられる(年収1,000万円で控除額220万円に打ち止め)など、高年収のサラリーマン世帯にはアゲインストの風がふき始めています。今後の税制の動きに注目が必要です。

まとめ

所得税には個人の懐事情に応じて、様々な控除が認められています。限界はあるものの、サラリーマンでも上手に活用すれば制度の恩恵を受けることができます。

現在、税金の面から格差解消を促すためもあり、所得税改革の議論の中では、所得控除から税額控除へのシフトが検討されています。

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ライター紹介

小野みさ代

小野みさ代

株式会社One's Brain 代表
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