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個人事業主が外注する場合と源泉徴収手続き

ようやく独立のめどが立ったら、商品紹介のホームページを作成する、店舗に棚などの什器を運び込み商品を陳列したりと、準備に入らなければなりません。税務署、社会保険事務所や労働基準監督署など、役所への届け出も必要です。

事業が回り始めたら、今度はチラシのデザインや印刷、ホームページのコンテンツ執筆など大わらわです。

こうした仕事を、全部自分の手でこなすのは不可能です。専門的知識やスキルが必要な仕事も多いでしょう。とくにスピードを要することは、外注することになります。

ビジネスモデルによっては、商品を委託販売するようなケースも出てきます。アフィリエイトの広告主として支払う成功報酬もその一種です。

ところで、仕事を外注する場合に、相手が個人事業主なのか、はたまた法人なのかを意識するでしょうか?ほとんどの方は意識しないでしょう。ところが税金の世界では、この違いが重要なのです。それが源泉徴収です。


源泉徴収は税金の代行払い


サラリーマンを経験された方なら、給与明細書の控除欄には「源泉徴収所得税」という項目をご記憶でしょう。給料から差し引かれた金額が、その後どうなるかご存知ですか?

給与の支払者である会社は、社員から差し引いた「源泉徴収所得税」を集め、税務署から配布された納付書に納付金額を記載して、銀行に持ち込むのです。

日本の税金の仕組みは申告納税制度を基本としています。つまり、納税者がきちんと税の仕組みを理解し、自ら納めるべき税金を申告することが、税への意識を高める意味からも理想とされているのです。

一方で、給料を支払う会社が、代わりに税金を集めてくれれば、税金徴収の効率性は間違いなく上がります。税務署職員の数には限りがあり、理想ばかりを言ってはいられないのです。

つまり、本来社員が税務署に申告して所得税を納付すべきところを、会社が代行しているのです。これが「源泉徴収」です。住民税や社会保険料も似たような仕組みを採用しています

源泉徴収制度によって、国は安定的に税収を確保することができ、多忙な毎日を送るサラリーマンも、税金の申告納付というわずらわしさから逃れられるのです。

その分、源泉徴収を行う会社にしわ寄せがいくわけですが。


源泉徴収の対象は給料だけではない

源泉徴収が始まったのは1940年、太平洋戦争が始まる前年です。長引く日中戦争で国家財政が干上がり、効率的に税金を集めようとしたのです。

当時は源泉徴収の対象となるようなサラリーマンの数は少なく、多くはお百姓さんか、商人・職人などの自営業に従事していました。その後サラリーマンの数は年々増加し、5000万人超、生産人口の大部分を占めるに至りました。それにつれて、源泉徴収制度も、税金を集めるためになくてはならない仕組みに変貌したのです。

源泉徴収の対象は給料だけではありません。株式の配当金額や売却した時の利益からは、所得税が一律20%差し引かれます。

保険や証券会社の歩合職員、ガス・水道・電気などの検針員、NHKの集金人、フリーライターなどに支払う原稿料も、相手が個人なら源泉徴収の対象です(相手が法人の場合には、源泉徴収は必要ありません)。

税理士、司法書士、弁護士、行政書士など、いわゆる士業に支払う報酬も同様です。


源泉徴収を怠るとお仕置きされる

所得税の代行払いといえば、サービスでやっているように思えますが、あくまで義務です。だから支払者のことを「源泉徴収義務者」と呼ぶのです。義務ですので、納付を怠ればお仕置きが待っています。誰がお仕置きを受けるかといえば、「源泉徴収義務者」です。

例えば、源泉徴収した所得税の納付が一日でも遅れると、納付額の10%が不納付加算税として徴収されます。仮に自己申告したとしても5%です。決して少ない金額ではありません。


源泉徴収義務者は法人だけではない


「自分は個人事業主だから源泉徴収の義務はないのでは?」そんなことはありません。源泉徴収義務者は法人だけ
ではないのです。

ただし、常時雇っている従業員が2名以下のお手伝いさんだけ、または誰も雇っていない場合には、源泉徴収義務はありません。

従業員を雇って源泉徴収義務者に該当することとなった場合には、1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。


納付期日は毎月10日

源泉徴収所得税は、その支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。ただし、従業員が10人未満の源泉徴収義務者は、特例として。半年分をまとめて納付できます。

・期日は、1月から6月分が7月10日、7月から12月分が1月20日です。

・この特例を受けようとする場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しなければなりません。

・この特例は、給料や退職金、弁護士・税理士・司法書士等への報酬に限られます。それ以外の原稿料等の報酬は特例が適用されません。

・仮に従業員が10人以上となった場合には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出しなければなりません。


原稿などを外注した場合の源泉所得税

原稿などを外注した場合には、支払金額の10.21%を源泉徴収します。ただし、同じ人物に一度に100万円超支払う場合には、その超える部分については20.42%を源泉徴収します。

原稿の範疇には、イラスト作成、作曲、レコードなどへの楽曲の吹込み、著作権・工業所有権の使用、デザイン、スポーツや料理教室などの派遣講師、翻訳・通訳、校正・版下、脚本・脚色、投資助言のコンサルなど、かなり広い範囲が含まれます。ちなみに芸能人に支払うギャラも同じ範囲に含まれます。

税務署は範囲を例示していますが、あくまで列挙方式なので、実はその範囲が曖昧であり、WEBやクラウドで出てきた新しいソーシングの概念にも対応できていないのが実情です。

この範囲に含まれない外注は源泉徴収の対象外です。

ちなみに、弁護士、税理士、公認会計士、不動産会計士などの士業に支払う報酬も、税額の計算方法は同じです。


アフィリエイトの広告主として報酬を支払う場合


外交員に支払う報酬の源泉徴収税額は、月中の支払い報酬から12万円を差し引いた金額に10.21%を乗じて計算します。つまり、月に支払う報酬が12万円以下の場合には、源泉徴収義務は生じません。

外交員というと無関係だと思いがちですが、外交員報酬は歩合、つまり「商品の売り上げ等に基づき報酬が決められているもの」と定義されており、商品の委託販売や、アフィリエイトの広告主として支払う報酬もこの範疇に含まれます。


部品の組み立てなどを外注する場合

主婦などに部品の組み立てなどの内職を外注する場合はどうでしょう。一般的には、請負契約に基づく外注作業であれば源泉徴収は不要です。ただし、以下の条件を満たしていないと、形式的に請負契約を結んでいても、「偽装請負」判定され、雇用契約とみなされます。

・内職を請け負う側が、部品組み立てなどに必要な作業用具を用意すること
・部品を仕損じてしまったら、請け負う側が負担する
・部品以外の諸経費(接着剤・塗料など)は請け負う側が負担する
・作業方法について指示監督を受けていないこと

雇用契約の場合は、給与の支払いとして源泉徴収が必要です。この場合には、代金の支払いサイクル、主婦によって副業かどうかによって源泉徴収税額の計算方法が異なります。国税庁ホームページをアクセスすると、PDFまたはエクセルいずれかの源泉徴収税額表をダウンロードできます。

支払いサイクル
日払いの場合は源泉徴収税額表の「日額表」、月払いの場合は「月額表」を使用します。

副業かどうか
副業の場合は税額表の乙欄(日額表の場合は丙欄)、そうでない場合は甲欄を使用します。甲欄を使用する場合は、税務署に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出し、扶養される配偶者の有無やお子さん、同居するご両親の氏名・住所・収入などを申告しなければなりません。

乙欄・丙欄は、甲欄より源泉徴収税額が高めに設定されています。


誰にいくら支払ったか税務署に申告する

源泉徴収税額を期日までに納付しても、面倒な手続きからは解放されません。

毎年1月31日には、前年に誰(氏名及び住所)にいくら報酬(または給与)を支払ったか、いくら源泉徴収したかを申告しなければなりません。これを法定調書の提出義務と呼びます。調書の種類は、報酬であるか給与であるかによってタイプが異なります。

原稿料やデザイン料などの外注に関しては、同じ人物に支払った報酬が年間5万円以上である場合に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出義務が生じます。

給与の支払いとして源泉徴収した場合には、源泉徴収税額表の甲欄を使用した場合には年間500万円、乙欄・丙欄を使用した場合には年間50万円以上を支払った者に対して、「給与所得の源泉徴収票」の提出義務が生じます。


支払調書は交付しなくても構わない


誤解される方が多いのですが、法定調書のうち「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は税務署への提出義務は生じますが、報酬を受け取った者への交付義務はありません。

多くの企業が支払調書を交付していますが、あくまでサービスです。

報酬を受け取った側でも、確定申告に必要なわけではありません。確定申告書に記載する源泉徴収税額は、あくまで報酬受領時の帳簿より転記するのが原則です。

支払調書の交付を受ければ、帳簿をさぼっても楽ができる、それだけの話です。確定申告書への添付義務もありません(要求されるケースがあるとの噂も聞きますが、法的根拠はありません)

大手企業の中では、アマゾンジャパンがアソシエイトプログラム参加者への支払調書交付を廃止し、話題となりました。

ただし、「給与所得の源泉徴収票」は、支払いを受けた者全員に書面により交付しなければなりません。PDFをメールに添付しての交付も認められています。


最後に-効率的な源泉徴収事務をめざそう

源泉徴収事務は意外と面倒です。事務のスタッフを雇う余裕がある中小企業は別として、個人事業主は税理士に頼らざるを得ません。ご自身やご家族で対応できれば、その分だけコストを抑えられますが、注意点があります。

一つは効率化です。例えば納付手続きは、税務署から支給された複写式の用紙(報酬・給与・非居住者用の3種類)に手書きで記入しなければなりません。
記載項目は、以下の通りです
毎月同じ:税務署番号、整理番号、整理番号、住所、氏名
毎月異なる:課税区分別の人数、支給額、源泉徴収税額

書き込んだら、銀行に持ち込んで納付してもらうのです。少しでも書き損じたら、一からやり直しです。忙しい個人事業主には苦痛のルーチンです。

税務署が推奨するE-TAXソフトを使えば、これらの記載項目をデータで入力し、WEBで伝送できます。口座番号などを登録しておけば自動振り替えも可能です。E-TAXソフトは、国税庁HPから無料でダウンロードできます。

もう一つは制度変更への対応です。最近では、2016年度のマイナンバー制度導入がありました。こうしたケースでは早めに準備しておけば、無駄のない作業が行えます。


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ライター紹介

by マネーの神様編集部

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ファイナンシャルプランナー、不動産投資家、起業家、トレーダー、ネットビジネス会社経営者、行政書士等が集まる、ちょっと不思議で多くの面白い情報が飛び交う編集部です。

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