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個人事業主・法人って何が違うの?起業した後にどちらを選ぶ?

テレビのニュースや社会面で、「〇〇さん(44) 自営業」「△△さん(35) 会社経営」と呼んだりしますよね。

「自営業」がいわゆる「個人事業主」です。

「会社経営」が「法人」です。

ただし、「自営業」は言ってみれば通称なので、実際は「会社経営」でも「自営業」と名乗るケースもあり、その辺りはややこしいですが。

サラリーマンの方でも、商店や工務店を営んでいる身内や親せきがいませんか?地元の友人でも構いません。看板が「(株)田中工務店」となっていれば、そのお店は法人成りしているのです。

「個人事業主」「法人」は、そもそも税金や法律の世界で使っていた用語であり、世間一般にはなじみのない言葉です。といいつつも、起業して自らビジネスを立ち上げる、あるいは起業後ビジネスが軌道に乗ってきた、そうした時にはいずれかの道を選ばなくてはいけません。

今回は、個人事業主と法人成りについての違いと、税金・手続き・法律面でのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。


開業する個人事業主は毎年8万人以上


会社などの法人を設立せずに、お店やフリーランスの仕事を行う個人のことを、個人事業主と呼びます。もともとは税務署が使っていた用語です。
昔は法人成りのハードルが高かったので、町の商店や工事店などのほとんどが個人事業主でした。

個人事業主は全国で200万人強います。個人事業主のもとで働く従業員を含めるとその数は600万人強で、働く人全体の10%強に当たります。

個人事業主といえば、町の商店、飲食点、美容院や床屋、クリーニング屋といったイメージですが、実際、小売・飲食・サービス業が個人事業主の大半を占めています。

個人事業主はここ20年以上、一貫して減り続けており、1990年の2/3近くまで落ち込んでいます。東京など大都市への一極集中で地方はさびれる一方、近くには大手ドラッグストアなどの開店で競争は激しくなる一方、都会の企業に就職した子供たちは、後を継ぎそうにもありません。

ただし毎年14万人が廃業する一方で、8万人以上が開業しています。新たに起業・独立しようという意欲にあふれた層がいるのも確かです。


毎年の法人設立は10万件

法人成りとは、個人事業主が株式会社など法人を設立して、その法人に財産や事業を引き継ぐことを意味します。

法人の数は、ここ20年以上、増減を繰り返しながら、160万前後をずっと維持しています。廃業企業数・開業企業数がともに10万兼前後で拮抗しています。

会社設立の最低資本金は、かつては株式会社で1000万円、有限会社で300万円でしたが、2003年の法律改正により1円からでも設立が可能になりました。

資本金面での会社設立のハードルがなくなったことにより、お金が無くても法人成りできるようになったのです。そうした追い風を受け、毎年の設立企業数は、かつての5万件前後から倍増しました。


法人設立は手間と費用が掛かる


個人事業主としてスタートするにあたって、特別な手続きは不要です。唯一の手続きが税務署に提出する「開業届」です。氏名・住所・事業の開始日・業種・屋号などを記載すればOKで、至って簡単です。

一方で法人の設立は、費用も掛かる上に、かなり面倒くさいです。具体的な手順は以下の通りで、司法書士と相談しながら進めます。

会社の基本事項決定
会社名、本店の住所、資本金と株主、事業目的と事業年度、役員構成、取締役会などの意思決定機関、株式の譲渡制限有無を定めます。

法務局での事前相談
会社名については、近隣に酷似した会社名があると、開業後トラブルのもとになりかねません。法務局で登記一覧が確認できるので、登記前に調べておくのです。

事業目的も記載内容によっては、開業後の事業が制約を受けてしまいます。法務局で他社の事例を確認すると同時に、相談員に確認しておくのです。

印鑑証明取得
発起人と取締役は印鑑証明を取得し、法務局への設立登記申請の際および公証役場への定款認証申請に当たり提出します。

会社の印鑑作成
以下の3種類の印鑑が必要です。
・契約書や法的届出書に捺印する代表印。周囲を会社名、中央に「代表取締役」と刻印します。
・金融機関に提出する書類に捺印する銀行印。周囲に会社名、中央に「銀行印」等と刻印します。
・領収書などに刻印する各印。

定款作成と認証方法確認
定款とは会社の運用の根本で、基本事項をベースに作成します。公証役場での認証が必要で、通常の認証の場合は9万円、電子認証の場合は5万円の申請費用が掛かります。

資本金の銀行口座への払い込み
認証が終わったら、基本事項に基づき、発起人の1人の銀行口座へ、出資者が資本金を払い込みます。口座は、通帳の無いタイプは認められません。払い込み終了後、記帳された箇所をコピーすると同時に、払込証明書を作成します。

登記書類作成と申請手続き
登記書類は、発起人決議書(又は発起人会議事録)、取締役就任承諾書、磁気ディスク、印鑑届出が最低必要です。ケースによっては、代表取締役選定書、監査役就任承諾書を作成します。

磁気ディスクには、定款電子認証のPDFと登記事項を入力します。登記事項は、フォント等も細かく規定されているので、注意が必要です。

申請は本店所在地を所管する法務局で行います。申請に当たっては登記費用15万円が必要です。具体的には、法務局内の売店で15万円の印紙を購入し、申請書に添付します。

申請窓口には、完了予定日が掲示されているので、写メなどを取っておくと良いでしょう。登記手続きは、完了予定日までにできあがります。


税金-法人成りの節税メリットは小さくない


このように手間がかかる法人成りですが、節税メリットは小さくありません。
1番目は社長として受け取る報酬、2番目は税率の違い、3番目は退職金です。

ただし、お手盛りは許されません。報酬規程・退職金規定などのルール整備も必要ですし、稼ぎが出たからといって年の途中で増額したら追徴課税を受けかねません。

社長として受け取る報酬
実は同じ稼ぎでも、個人事業主から社長に立場が変わっただけで税金を低く抑えることが出来るのです。

ケース①個人事業主は、収入から必要経費等を控除した事業所得に対して所得税が課されます。
(収入2600万円、必要経費1000万円の場合)
A:事業所得 2600万円-1000万円-青色申告特別控除65万円-基礎控除38万円=1497万円
B:所得税額 A×所得税率33%-153.6万円=約340万円

ケース②これが会社設立するとどう変わるのでしょう。上記の例で、収入から必要経費を差し引いた金額1600万円を社長に報酬として支給したケースで計算します。

A:法人の所得:2600万円-1000万円-社長への報酬1600万円=0 

B:給与所得 1600万円-給与所得控除220万円-基礎控除38万円=1342万円
C:所得税額 B×所得税率33%-153.6万円=約289万円
社長は、サラリーマンと同じように給与所得控除を受けることができます。この影響で、ケース①とケース②では、納税額が51万円も違います。

税率の違い:超過累進税率と一定税率
個人事業主の場合は、事業所得に対し所得税(その他に個人住民税および個人事業税)を納付します。所得税は応能負担、つまり「稼ぎの多い人ほど社会を支えるための税金をより多く負担すべきである」との考え方に基づき、超過累進税率を採用しています。

超過累進税率では、所得が増えるほど税率が上がります。
〇195万円までは5%
〇330万円までは10%
〇695万円までは20%
〇900万円までは23%
〇1800万円までは33%
〇4000万円までは40%
〇4000万円を超えると45%です。

誤解される方が多いのですが、超過累進税率は、例えば195万円を少しでも超えるといきなり5%から10%に税率が上がるわけではなく、195万円を超える部分に10%が課されるのです。

例えば、所得が300万円の場合、課される所得税は、以下の通りとなります。
A:195万円×5%=97500円
B:(300万円-195万円)×10%=105000円
A+B=202500円

一方で、法人の場合は、所得に対し法人税(その他に地方税として法人住民税および法人事業税)を納付します。この法人税率は所得に対して一定率で23.4%です。所得金額が900万円を超えると所得税率は33%となり、法人税率より高くなります。

この仕組みを利用して節税が図れます。

ケース②例えば、1600万円を全額社長へ報酬として支払うと税額は289万円です。

ケース①報酬を1100万円に抑え、残り500万円を法人にプールした場合はどうでしょう。

A:法人に課される法人税額:500万円×23.4%=117万円
B:社長に課される所得税額:(1100万円-給与所得控除額220万円-基礎控除38万円)×
33%-153.6万円=約124万円
A+B=241万円

節税額(ケース①とケース②の差額)は48万円です。

退職金の受け取り
法人成りすれば、社長としての事業主はもちろん、奥さんなど親族も退職金を受け取ることができます(もちろん勤務している実態は求められますよ)。退職所得は以下の算式で示されるように、退職所得控除額が大きく、1/2にカットされるので、節税面で大変有利です。
ただし、奥さんや事業主本人の勤続期間は、事業を始めてからではなく、法人成りしてからカウントします。

退職所得(勤続期間20年以上の場合)
=(収入金額-(800万円+(勤続期間-20年)×70万円))×1/2


社会保険-法人成りすると強制適用事業所に


個人事業主の場合、従業員が5名未満なら、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する・しないは任意です。
一方で、法人は社会保険の強制適用事業所で、必ず加入しなければなりません。

個人事業主や一緒に働く奥さん・親族も国民年金・国民健康保険には加入しますが、厚生年金・健康保険の適用により、通常コストはアップします。

従業員分を雇っているケースでは、国民年金・国民健康保険の保険料は従業員が全額負担ですが、厚生年金・健康保険の場合は雇用主・従業員で折半です。

また、適用事業所の届け出、被保険者の資格取得・喪失、保険料の算定・納付など、手続きも煩雑です。


法人成りは人材採用や融資に有利?

「会社設立で、ブランド力が上がり、優秀な人材を獲得しやすくなる」

本当でしょうか?そんな単純な理由で、あなたなら就職先を選ぶでしょうか?

融資も同じです。銀行の営業担当は、融資先の担保力・成長性等を吟味したうえで融資の可否・条件を判断します。法人か個人かは関係ありません。会社資産の担保力が低い場合は、社長に連帯保証または個人資産の担保提供を必ず要求してきます。


最後に-将来のビジョンで選ぶ

法人成りは節税のメリットが大きい反面、会社設立や社会保険等の手続きの煩雑さも無視できません。

ただし、将来事業を大きくし、従業員も増やし、やがては上場したいと考えているなら法人成りは欠かせません。そうでなくて、「生業」として事業を続けるなら個人事業主にとどまることをおすすめします。


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by マネーの神様編集部

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ファイナンシャルプランナー、不動産投資家、起業家、トレーダー、ネットビジネス会社経営者、行政書士等が集まる、ちょっと不思議で多くの面白い情報が飛び交う編集部です。

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