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個人事業主が支払うさまざまな保険料、一体経費で落とせるの?

「古くからの友人でありビジネスパートナーとの飲食費は経費として認められるのか?」
「家族同然の店員さんと一緒に旅行に行ったが、店員さん分のホテル代・交通費は福利厚生か?」
「普段は配送に使っている車で、娘の通学の送り迎えをしているが、税務署に問題視されないか?」

どこまでを経費で落とせるか、個人事業主はいつも頭を悩ませます。少しでも税金をケチりたいのです。

税務署は、ビジネスに使った費用以外は必要経費として認めません(これを税金用語で「家事費」と呼びます。個人事業主の場合は、ビジネスとプライベートの境界が微妙なのでいつも悩むのです。

このように境界線が微妙な費用を「家事関連費」と呼びます。税務署は原則として家事関連費全額を経費として認めません。一部でも必要経費として認めて欲しければ、個人事業主が申し開きし、税務署のお許しを得なければなりません。

そうした「家事関連費」の代表が保険料です。今回は、どういった保険料なら必要経費として認められるのか考えてみます。同時に、認められない場合の「次の一手」についてもご紹介します。


税金対策のポイントは必要経費・所得控除にあり


なぜ、税金対策のポイントが必要経費なのでしょうか?

その理由は、個人事業主が納める所得税の計算式を見るとよくわかります。

所得税は、所得金額×超過累進税率の算式で計算されます。

超過累進税率のもとでは、所得金額が増えるにつれてその税率も上がります。所得150万円なら5%の負担率で済んでいたのが、所得5000万円だと45%にも達します。つまり節税するには所得金額を如何に抑えるかがポイントなのです。

次に所得金額の計算式を説明します。

収入金額-必要経費-所得控除額

収入金額=売上金額ですので、ごまかしようがありません。いかにして必要経費と所得控除を膨らませるかが、節税対策のポイントです。

ん?必要経費はわかるけど、所得控除ってなんのこと?まあまあ、順番に説明しますので、今しばらくお待ちくださいませ。


営業車や店舗のために支払う経費はOK

事業に使っている不動産や動産にかけている保険は、経費として認められます。具体的には、以下のような保険料です。

営業車
自動車賠償責任保険(法律により加入が義務付けられる保険)、対人・対物・搭乗者保険・車両保険(いずれも任意で加入)。

店舗やオフィス
火災保険や地震保険の保険料。ただし、掛け捨ての保険に限ります。

ちなみに、1年分の保険料を前払いした場合にも、それが継続的に繰り返されるのなら「短期前払費用」として経費への参入が認められます。


住宅兼店舗の火災保険料は契約書をじっくりチェック!


微妙なのは「家事関連費」として取り扱われる、例えば住宅兼店舗の火災保険料です。住宅兼店舗向けの保険商品は住宅物件として取り扱われ、一般物件とみなされる店舗向けの保険商品よりかなり割安に設定されています。保険会社も積極的に拡販しており、個人事業主や中小企業オーナーにも好評です。

こうした住宅兼店舗の保険料は、住宅と店舗の専有床面積の比率で按分して経費を算出すればよさそうに思えますが、そう単純にはいきません。

例えば、年間保険料の総額が200万円、建物の床面積が100㎡、店舗の床面積が50㎡とすると、基本的には以下の算式で経費が計算されます。

200万円×50㎡/100㎡=100万円

ただし、その前に保険契約書をじっくりチェックするべきなのです。なぜなら、住宅兼店舗向けの保険にはさまざまな特約が付いており、保険料の内訳には、こうした特約保険料が含まれているのです。

(内訳)
A建物全体の保険料100万円 B火災による休業補償特約60万円 C商品在庫の損失補償特約40万円

だとすると、Aは床面積按分が必要ですが、B・Cは全額が経費として認められます。再計算すると経費は以下の金額です。

A100万円×50㎡/100㎡+B60万円+C40万円=150万円

結果として、経費に落とせる金額が50万円も増えるのです。


個人事業主を対象とした保険料は経費NG?

個人事業主本人を対象とした保険には、医療保険・生命保険など自らの意志で加入するもの、個人事業主や中小企業オーナーだけが加入できる小規模企業共済、法律により加入が義務付けられる公的保険が含まれます。

残念ながら、いずれも経費として認められません。救済策は無いのでしょうか?

実はこうした保険料は所得控除の対象として認められます。

この所得控除とは一体何でしょうか?経費とは何が違うのでしょうか?

代表的な所得控除は「扶養控除」、扶養している子供一人につき38万円が所得から控除されます。なぜでしょうか?

日本の所得税は、「応能負担」、すなわち「支払い能力の高い納税者がより多く税金を負担する」という考え方に基づいています。

稼いでいる金額が同じでも、扶養している奥さんや子供の数が多ければ、税金の支払い能力は下がります。そうした個人の事情を反映させるのが所得控除なのです。

では必要経費と所得控除の違いは何か?必要経費を収入金額から引き切れない時(収入金額-必要経費がマイナスの時)は、引き切れなかった分を翌年以降にキャリーオーバーしたりできます。これを損失の繰越控除と呼びます。

所得控除は、この繰越控除が認められません。そこが必要経費と大きく異なる特徴です。


保険料に関する所得控除は3種類-社会保険料控除


保険料に適用される所得控除は、全部で社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除の3種類です。まず、社会保険料控除について説明します

社会保険料控除は公的保険が対象
社会保険料控除は、法律により加入が義務付けられた公的保険が対象です。控除額に上限は無く、支払った全額を控除できます。

最近は非正規労働者の増加や所得の低迷もあり、社会保険料の未納者が増加し続けています、国としてもそうした事態に歯止めをかけ、納付を励行したいので、税金面での優遇を認めているのです。

オバマ大統領が導入した「オバマケア」は、米国民全員が適切な医療を享受できる「国民皆保険」を目指した制度でした。トランプ大統領はオバマケアの廃止を提唱していますが、結局はこの制度も、自己責任の文化が強いアメリカには根付かなかったと言われています。

一方で日本の場合、困った人への公的なサポートに、ある程度の国民的合意が根付いています。これを仕組みとして支えるのが、社会保険制度です。

日本の社会保険制度は、好むと好まざるとにかかわらず、国民全員に加入義務が課され、保険料を納付しなければなりません。

個人事業主を加入対象者とする社会保険は以下の3つです。

「病気やけがに備える」国民健康保険
この保険により、原則として医療費の7割を補てんしてくれます。保険料は年収や扶養家族によって上下しますが、市町村によっても大きく異なります。最低で年間約30万円、最高で約50万円までと開きがあります。

「老後や障害に備える」国民年金
老後を迎えたときや、後遺症などで障害が残ったときに年金が支給されます。保険料は所得などとは一切かかわりなく、一律月額16490円です。

「仕事中の事故に備える」労災保険
個人事業主が従業員を雇う場合は、労災保険への加入は必須ですが、事業主本人の加入は義務付けられていません。ところが災害の多い職場では、個人事業主自身がけがを負うケースも後を絶ちません(建設現場の親方など)。

そこで救済措置として、希望する個人事業主には労災特別加入が認められています。ただし職種は建設業、運送業など、危険を伴う仕事に限られます。

そして納付した保険料は、全額社会保険料の対象です。

「雇用保険」は対象外
雇用保険は、失業に備える保険です。一方で個人事業主は、自分の意志で働き続けることができます。失業という概念が当てはまらないのです。

そうは言っても、事業に失敗して廃業するリスクはまれではありません。実際、毎年20万人を超える個人事業主が廃業に追い込まれています。

廃業した個人事業主は失業者同然です。そうしたリスクに備えてくれる保険は無いのでしょうか?それが小規模企業共済です。


-小規模企業共済掛金等控除

小規模企業共済は、いわば国が作った個人事業主のための退職金制度です。

従業員が20人以下(宿泊業・娯楽業を除くサービス業・小売業の場合は5人以下)の個人事業主や共同経営者などが加入でき、平成28年時点でその加入者は167.5万人に達しています。

毎月コツコツと掛金を積み立てれば、廃業したり、後継者に事業を譲ったりした場合だけでなく、一定年齢(65歳)に達した場合にも共済金の給付を受けることができます。

この掛金は、最高で月7万円まで認められています。最高額を30年間積み立てれば、3000万円以上の共済金を手にすることができます。

税金面でも優遇されています。

毎月の掛け金は、社会保険料と同じく、その全額が所得控除(小規模企業共済掛金等控除)の対象となり、上限額は設けられていません。


-生命保険料等控除


社会保険や小規模企業共済以外で、個人事業主が民間の生命保険契約等に加入した場合にも、所得控除の適用を受けることができます。

対象となる保険契約は生命保険契約、介護保険契約、個人年金契約の3つです。

生命保険会社の営業担当は、「加入していただければ節税メリットもありますよ」と売り込んできますが、加入が義務付けられる社会保険や、国が後押しする小規模企業共済と比べると、節税効果は大幅に限られます。

3つの保険契約ごとに、保険料・掛金の全額が所得控除できるのは2万円までです。所得控除の上限額は4万円(保険料・掛金の金額が8万円を超える場合)です。

3つの保険契約すべてに加入して、限度額いっぱいまで所得控除を受けたとして、その合計は12万円です。


さいごに-まさかの時に備えて保険に加入する

人生には3つの坂があると言われています。ビジネスも絶好調で健康面でも問題ない「上り坂」、いずれもうまく回らない「下り坂」、そして3つ目の坂が火災・事故・病気などの「まさか」です。

保険はこうした「まさか」に備えて加入します。確かに必要経費や所得控除の対象として認められるかどうかは大切ですが、それはあくまで「おまけ」です。節税面ばかり意識して、必要以上に保険に加入しては本末転倒です。

あくまで、事業面でのリスク回避や生涯設計の面から判断しましょう。


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ライター紹介

by マネーの神様編集部

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ファイナンシャルプランナー、不動産投資家、起業家、トレーダー、ネットビジネス会社経営者、行政書士等が集まる、ちょっと不思議で多くの面白い情報が飛び交う編集部です。

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